犬の血統書とは?

子犬を抱えるブリーダー

血統書の目的と意味

犬の血統書(正式には「血統証明書」)とは、その犬が純血種であることを証明する公式な書類です。

血統書の制度がはじまった背景には、犬の品種ごとの特徴を守り、正しく管理・保存していく必要性がありました。

実際、現在世界では非常に多くの犬種が存在しています。たとえば、日本で登録管理をおこなうジャパンケネルクラブ(JKC)では約200犬種を公認しており、国際畜犬連盟(FCI)では約350犬種が認定されています。

このような多種多様な犬の特徴を正確に把握し、後世に残していくためにも、血統情報を明記した「血統書」は重要な役割を果たしているのです。

どんな犬に血統書が発行される?

血統書は、どの犬にでも発行されるわけではありません。
正式な血統書が発行されるのは、両親や祖先まで純血種であることが証明されており、登録団体(JKCなど)に認められた繁殖者から誕生した子犬に限られます。

たとえばJKC発行の血統証明書には、本犬に加えて、両親、祖父母、曽祖父母までの血統情報が記載されており、その犬がどの犬種に属し、どのような系統で生まれたのかを証明する役割を果たします。まさに「犬の戸籍」ともいえる存在です。

血統書は単なる証明書ではなく、犬の出自・系統・育成背景までも把握できる信頼性の高い書類として、ブリーディングや犬種の保存、ドッグショーなど多くの場面で活用されています。

犬の血統書を発行している団体

ダックスフンドの子犬をだっこしているブリーダー
血統書は、認定された登録団体によって発行されます。
国内外にはいくつかの団体がありますが、日本で主に知られているのは次のような発行機関です。
  • 般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC)
  • 公益社団法人 日本犬保存会(日本犬保存会)
  • NPO法人 日本社会福祉愛犬協会(KCジャパン)
  • 一般社団法人 日本警察犬協会(PD)
など

団体による違いはある?

血統書の基本的な役割はどの団体でも共通していますが、登録の基準や記載される情報などには違いがあります。

たとえば、JKCが発行する血統書には3~5代前の親犬情報が記載されており、血統の流れが詳細に把握できるのが特長です。一方で、団体によっては記載項目が異なったり、交付基準が独自のものになっている場合もあります。

血統書の見方

犬の血統書

血統書に書かれている主な情報

犬の血統書には、その犬が純血種であることを証明するための詳細な情報が記載されています。具体的には以下のような項目があります。

【基本情報】
  • 犬の登録名(ブリーダーの姓などが含まれることも)
  • 犬種名
  • 性別
  • 毛色
  • 生年月日
  • 登録番号・発行団体名

【飼育・繁殖に関する情報】
  • 繁殖者(ブリーダー)名
  • 所有者名
  • マイクロチップ番号DNA登録番号
  • 交配に関する評価(「股関節評価」「肘関節評価」など)

※JKC発行の血統書では、3代前までの親犬情報が記載されており、最大4代構成の血統証明書が交付されることもあります。

血統書からブリーダーの情報がわかる

血統書には、その犬を繁殖・育成したブリーダー(繁殖者)の名前が記載されています。

「どんな人が育ててくれたのか知りたい」
「今いる愛犬と血縁のある子犬を探したい」
そんなときは、記載されたブリーダー名で検索すると、該当のブリーダーを探せる可能性があります。

【みんなのブリーダーで確認できること】
子犬お迎えサイト『みんなのブリーダー』では、以下のような情報を確認したり、直接問い合わせることができます。
  • 犬舎紹介
  • 取り扱い犬種
  • 犬舎所在地
  • 犬舎見学・見学予約の案内
  • 評判・口コミ・評価
など

『みんなのブリーダー』でブリーダーを検索してみる
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犬種記号とは?

種類の異なる3頭の犬
犬種記号とはJKCの血統書に記載されている、犬種ごとに振り分けられた固有の記号です。
たとえばポメラニアンはPO、ビーグルはBEというようにつけられています。ダックスフンドとプードルは、以下のようにサイズごとに区別されています。

ダックスフンド
  • スタンダード・ダックスフンド:DH
  • ミニチュア・ダックスフンド:DHM
  • カニーンヘン・ダックスフンド:DHK


プードル
  • スタンダード・プードル:PS
  • ミディアム・プードル:PMD
  • ミニチュア・プードル:PM
  • トイ・プードル:PT

人気犬種の犬種記号一覧

人気犬種20種の犬種記号をご紹介します。

  • トイプードル:PT
  • チワワ:CI
  • ミニチュアダックスフンド:DHM
  • ポメラニアン:PO
  • ミニチュアシュナウザー:MS
  • フレンチブルドッグ:FB
  • マルチーズ:ML
  • ヨークシャーテリア:YT
  • 柴:JS
  • シーズー:SZ
  • ゴールデンレトリバー:RG
  • パグ:PG
  • ラブラドールレトリバー:LR
  • ウェルシュコーギーペンブローク:WP
  • パピヨン:PP
  • ビションフリーゼ:BFR
  • ジャックラッセルテリア:JR
  • ボーダーコリー:BCL
  • ペキニーズ:PK
  • イタリアングレーハウンド:IGH

チャンピオン、称号の記載がある場合も

血統書発行団体公認のドッグショーやアジリティ大会などでチャンピオンになった場合は、名前のところに略号で記載されます。

  • CH(〇〇): チャンピオン
    ()のなかはチャンピオンを取得した大会の開催国、称号を取得した日付も記載されます
  • INT.CH.:インターナショナルビューティーチャンピオン
  • INT.W.CH.:インターナショナルワーキングチャンピオン
  • INT.AG.CH.:インターナショナルアジリティチャンピオン
  • AG.CH.:アジリティチャンピオン

血統書の取得方法

犬舎内のドッグランにいるコリー
犬の血統書は、基本的にブリーダーが発行手続きをおこないます
子犬を迎える際、血統書が発行されるかどうかは事前に確認しておくと安心です。

再発行はできる?

血統書に記載された所有者が、再発行を申請できます。

たとえばJKCでは、登録済みの所有者名であれば再発行が可能です。
再発行を希望する場合は、まず血統書に記載されているブリーダーや団体に問い合わせてみましょう。

子犬の登録について(母犬登録)

生まれた子犬を登録するには、母犬の所有者が申請します。
ただし、団体によっては父犬の情報やDNA登録が必要な場合もあります。

名義変更は必要?

血統書付きの犬を迎えた場合、その血統書には前の所有者名(多くはブリーダー名)が記載されています。名義変更をしない限り、そのままの状態で管理され続けます。

名義変更が必要になるのは、交配を希望する場合やショーに出陳する場合がほとんどです。
家庭でペットとして飼育する場合は、名義変更せずに管理している飼い主さんも多く見られます。

血統書付きの犬とは?

ドッグショーの様子

血統書付き=価値がある?誤解されがちなイメージ

「血統書付きの犬」と聞くと、「優秀」「高級」「健康で賢い」といったイメージを持たれることもあります。しかし、血統書は犬の「血統(親や先祖の情報)」を証明するものであり、犬の優劣を決めるものではありません。

血統書があるからといって、病気にならない、しつけがしやすい、性格が良いといった保証があるわけではないのです。

むしろ大切なのは、お迎えする子犬がどんな性格で、どんな環境で育ったか。そして、迎えたあとの愛情やしつけ、健康管理にどれだけ飼い主が向き合えるかが、愛犬の健やかな成長にとっては大きな要素となります。

血統書があるメリット

血統書があると、以下のような情報が確認できるため、一定の安心材料にはなります。
  • どの犬種であるかが明確になる
  • 親犬・祖先犬の情報から、体格や毛色の傾向が予想できる
  • ブリーダーや出身背景をたどる手がかりになる

まとめ

授乳中の柴犬の親子
犬の血統書は、その犬がどのようなルーツを持つかを証明する公式な書類です。一般的な家庭で飼う場合には必須ではありませんが、「親犬の情報がわかる」「ブリーダーの出自が確認できる」といった安心感があるのも事実です。

また、血統書を活用すれば、愛犬の祖先や系統をたどる“ルーツ探し”を楽しむこともできるでしょう。日常的に使う機会は少なくても、大切な家族の証として、大切に保管しておくことをおすすめします。
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