犬のブラッシングは大切!

愛犬の健康を守るために、絶対に欠かせないのがブラッシングです。

ゴミや汚れ、抜け毛を除去したり、毛玉やもつれの発生を防いだりと毛並みの美しさを保つだけではありません。愛犬の全身に触れることは、皮膚トラブルや病気の早期発見ができ、健康状態をチェックする大切な機会なのです。

皮膚への刺激による血行促進でマッサージ効果が期待でき、スキンシップをすることで愛犬をリラックスさせることができます。

心と体の健康維持のために大切なブラッシング。定期的におこなってあげましょう。

子犬のブラッシングはいつから?

体に触れられることに慣れていない犬は、ブラッシングを嫌がります。愛犬がブラッシングに苦手意識をもたないよう、子犬のころからはじめて慣れさせていきましょう。

お迎えしたばかりの子犬が新しい環境に慣れて落ち着いてきたら、少しずつブラッシングをはじめます。
体に触られるのを嫌がったり、ブラッシングに抵抗感をもっていたりする子に対しては、1回の時間を短くして数回に分けておこない、少しでもできたら褒めてあげたり、おやつをあげたりするなど、ブラッシングを楽しい時間と認識してもらうことが大切です。

犬のブラッシングの頻度

愛犬のブラッシングは毎日おこなうのが理想的。少なくとも週に2~3回を目安に、ブラッシングをしましょう。
毎回完璧におこなう必要はありません。短時間でも継続的にすることで、愛犬の体の異常にも気づきやすくなります。

散歩から帰宅後に軽くブラッシングする、愛犬が寝る前の時間帯にコミュニケーションの一環としておこなうなど、習慣にするとよいでしょう。

愛犬に合ったブラシを選ぼう

ブラシの種類

スリッカーブラシ

ブラシのピン1本1本が細く、「く」の字に曲がっているため、毛の根元付近に溜まりやすい抜け毛や汚れを効率よく取ることができます。

清潔でしっかり整った毛並みに仕上げることができ、犬種を問わずに使えますが、細いピン先を不快に感じる犬もいますので注意が必要です。

ピンブラシ

ピンが真っすぐになっていて、人が使うブラシに近い形状です。長毛犬種毛の柔らかい犬でも、過剰な抜け毛や切れ毛を防ぎ、ボリュームを保つこともできます。

ピン先を丸く加工してあるタイプもありますので、皮膚刺激に弱い犬や、毎日のお手入れにも向いています。

獣毛ブラシ

豚や馬などの毛を素材にしたブラシで、被毛に艶が出やすく、静電気が起きにくいという特徴もあります。ブラッシングの仕上げとしてよく使われますが、短毛種の日々のお手入れにも向いています。

使用している毛によってブラシの硬さが異なるので、愛犬がストレスを感じないものを選びましょう。

ラバーブラシ

ソフトな弾力のあるゴム製のラバーブラシは、被毛のケアと同時に、皮膚に対するマッサージ効果も期待できます。短毛種スムースコートの犬種のお手入れにおすすめ。

ラバーブラシはピンが柔らかくしなりやすいため、長毛犬種では根元近くまでピン先が届くよう長毛種用のラバーブラシを選びましょう。また、長毛種でも顔周りや足先は毛が短い犬種が多いため、部分使いをすることもできますよ。

あると便利なアイテム

ブラッシングスプレー

ブラッシング用スプレーには、静電気防止、保湿、毛並みのボリュームアップなど、製品ごとにさまざまな効果があります。愛犬の毛質と用途に合わせて選びましょう。

ブラッシングスプレーをムラなくかけるには、愛犬の体に噴射口を向けず、犬の体高より10cm~30cmくらい上方の空間に噴射し、胴体にふんわりと降りかかるようにするのがコツ。

嫌がる様子があるときや頭部に使用したいときは、ブラシやコームにスプレーしてブラッシングするのもよいでしょう。

抜け毛取り専用ブラシ

抜け毛の除去に特化して開発されているブラシにも、さまざまな製品があります。
このタイプのブラシは、くしの部分にある特徴的な刃の機能により抜け毛や抜けかけている被毛を取り除くため、使い過ぎると健康な被毛まで抜き取ってしまう恐れもあります。

ピンブラシや獣毛ブラシなどで毛並みを整えてから、無理のない程度に使用するのが安全です。

犬のブラッシングのやり方

用意するもの

  • スリッカーブラシ
    抜け毛を取り去る力が強く、細いピン先のため毛玉もほぐしやすい利点があります。
  • コーム
    大きなゴミを取り除きやすく、準備と仕上げの両方に活躍します。
  • ピンブラシ
    毛が絡まりやすくお手入れに時間のかかる長毛犬種やダブルコートの犬では、愛犬の負担を減らすためスリッカーブラシと併用します。

ステップ1.スリッカーブラシで嫌がらない場所からブラッシングする

背中や体の側面など、愛犬が嫌がらない部位から、スリッカーブラシでとかしていきます。

最初から深くブラシを入れると、根元に近いほうの毛玉やもつれに引っかかり、犬が痛がってブラッシングを続けられなくなることがありますので、最初は表面に近いところから、毛並みに沿って撫でるようにとかしていきます。
引っかかりがなければ、少しずつ深くブラシを入れていきましょう。

スリッカーブラシを使う場合、力を入れると皮膚に傷がついてしまうことがあります。
ブラシと犬の体が平行になるように当てて、力を入れずに軽く、優しくブラッシングしてください。

顔周りや足周りは、多くの犬が嫌がるポイント。後回しにしたほうがスムーズに進められます。
ブラシのピンを怖がる場合、最初は視界から外れる部分の目の周りからスタートし、最後に口元と鼻の周りというように、範囲を狭くして少しずつブラッシングしてあげるのがおすすめです。

ステップ2.コームで全体を整える

スリッカーブラシが終わったら、次にコームで毛の流れを整えていきます。

このとき、コームは直角に皮膚に当たらないように持ち、斜めに角度をつけて深く撫でるように、ゆっくりとかします。

ステップ3.毛玉・もつれをほぐす

毛玉やもつれに引っかかったら、スリッカーブラシに持ち替えてといた後、あらためてコームを入れます。

コームは扱いやすいものの、ピン先が太いため、毛玉やもつれをほぐすのには向きません。
そのままコームで続けると痛がることがありますので、皮膚が引っ張られないように片手で毛の根元を押さえながら、毛先から丁寧にとかしていきます。

犬のブラッシングのコツ

リラックスさせた状態でおこなう

ブラッシングに慣れていない犬や、過去にブラッシングで不快な経験をした犬の場合、まずは十分にリラックスさせて、警戒心を抱かせないようにすることが大切です。

背骨の近くを走る自律神経を落ち着かせるよう、丁寧なマッサージをするのもおすすめ。
ブラッシングは気持ちのいい時間とわかってもらえるように、優しく声がけをし、安心させてあげましょう。

ブラッシングが終わったら、たくさん褒める、おやつをあげるなどして、ブラッシングによい印象をもたせるようにします。

長時間のブラッシングは控える

ブラッシングは1回につき10分から20分程度で終わらせます。長時間のブラッシングは、犬が飽きて嫌がってしまったり、毛を抜きすぎてしまったりする可能性があるからです。

時間のないときは短縮して、耳の下や脇、おなか、しっぽの付け根など、汚れやすい場所や毛玉ができやすい場所を重点的にブラッシングします。

無理強いしない

ブラッシング中に逃げたり、嫌がるそぶりを見せたりしているときは、無理に続けると愛犬にとってストレスとなります。ブラッシングに対してよくない記憶が残ってしまうと、次回以降のブラッシングが難しくなってしまうこともあります。

愛犬が落ち着いている状態で、安心してブラッシングできるよう、タイミングをずらしたり環境を整えたりする工夫が必要です。

犬がブラッシングを嫌がるときの対処法

体を触られることに慣れさせる

ブラッシングを嫌がる犬は、そもそも体に触れられること自体に慣れていない可能性があります。最初はブラッシングではなく、優しく撫でる、マッサージをするなど、少しずつ犬の体に触れていくようにしましょう。
その際、口先や足先など多くの犬が嫌がる場所は避け、首周りや前胸、耳の付け根など、犬が気持ちいいと感じる場所からはじめます。

身体接触を伴いながら犬と触れ合う時間を習慣化し、コミュニケーションをとることを心がけて過ごします。

普段からブラシを見慣れさせる

ブラッシングされることではなく、ブラシそのものに対して警戒する犬もいます。このような犬の場合は、ブラシの印象がポジティブなものに変わるよう工夫が必要です。

日ごろから犬の身近な場所にブラシを置き、犬が見慣れていくようにします。また、ブラシを見せながらおやつを与えるなどして、犬がブラシに対してよい印象をもつようにしましょう。

ブラシを変えてみる

ブラシのピンが硬すぎたり、ピンの密度が高く毛に引っかかっていたりする場合、痛みや不快感からブラッシングが嫌いになってしまう愛犬もいます。犬種や被毛の特徴、皮膚の状態によって最適なブラシは異なるため、ほかの種類のブラシを試して様子を見てみましょう。

愛犬にどんなブラシが合っているかわからないときは、トリミングサロンやブリーダーに尋ねてみるのも一つの方法です。

まとめ

子犬のころからブラッシングに慣れさせておけば楽なのですが、うまくいかないこともありますよね。成犬になっても粘り強く取り組むことで、愛犬がブラシやブラッシングに抱いている嫌な印象を少しずつ取り除くことができるはずです。
家ではブラッシングさせてくれない子でも、トリミングサロンでは素直にやらせてくれる子もいます。愛犬に合わせて工夫を重ね、ふわふわ・サラサラできれいな毛並みを保ってあげましょう。