犬が散歩で歩かない6つの理由と対処法

散歩を拒否する柴犬

1.恐怖を感じている

子犬や、成犬でも散歩の経験が少ない子にみられる現象です。
家の外が怖い、見慣れないものや聞きなれない音が怖いなど、外出経験が少なく社会性が身についていないことが原因で散歩を嫌がります。

この場合、はじめは抱っこしながらでよいので、なるべく外の環境に慣れさせることが大事です。
人通りや車、バイクが少ない時間を選ぶなど、愛犬が苦手としているものを避ける工夫をしながら、外にいる時間と歩く距離を少しずつ増やしていきましょう。

2.距離や時間が適切ではない

犬種や体の大きさ、年齢によって必要な運動量は異なります。日々の体調によっても変わってくるといえるでしょう。
毎回30分以上の散歩が必要な犬もいれば、15分の運動で十分な場合もあります。
愛犬に合った散歩時間であるか、適切な距離であるのか、いま一度見直しましょう。

3.リードやハーネスが気に入らない

リードやハーネスが重い、きつい、金具が不快、毛が絡まる、ハーネス下の皮膚にトラブルがある……など、さまざまな理由から、散歩ではなく、リードやハーネスの装着を嫌がっている可能性があります。

リードやハーネスを新調したときにありがちなトラブルですので、もとのものに戻したり、別のものに変えたりして様子をみましょう。
同じものを使用しているにも関わらず嫌がるようでしたら、体のサイズが変わるなどして合わなくなっているのかもしれません。確認しましょう。

また、ハーネスや首輪の擦れによる皮膚トラブルを抱えている可能性も考えられます。愛犬の被毛と皮膚の状態をチェックしましょう。

4.甘えている

多いとはいえない原因ですが、抱っこして欲しいときに歩かないことがあります。
抱っこして散歩をしてもらった記憶があり、甘えているのかもしれません。
癖がつかないよう、散歩中の抱っこはなるべく控えましょう。
同時に、なぜ抱っこをせがむのか、根本的原因を探ってみる必要があるといえるでしょう。

5.暑くて外に出たくない

夏などはアスファルトが熱くなりやすく、そのために歩かなくなることもあります。
アスファルトの熱や照り返しによる負担、体力低下などから、長い時間歩けない状態にあるのかもしれません。
日頃から暑さ対策につとめ、散歩は早朝や夕方など気温が高くないときに行きましょう。

6.肥満から動くのがつらい

太りすぎて体が思うように動かないというケースもあります。
超小型犬であればほんの数百グラムの増加でも、健康に影響を及ぼすほどの体重変化であることも。
食事の量や内容を見直すとともに、負担がかからない程度に運動を促し、愛犬が適切で健康的な体重を維持できるよう心がけましょう。

犬が散歩で歩かないのはケガや病気の場合も

散歩で歩きたがらない犬
「いつもは散歩が好きなのに今日は歩きたがらない」という場合はケガや病気の可能性があります。
いつもと明らかに違う様子がみられたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。

考えられるケガ

考えられるケガに、肉球のケガと爪のケガがあります。
肉球は表面だけでなく、指と指の間などすみずみまで確認しましょう。
爪は割れたり削れたりしていないか、伸びすぎていないか、チェックします。

考えられる病気

さまざまな病気の可能性がありますが、普段は散歩好きなのに急に行きたがらなくなった、とにかく歩きたがらない、という場合には下記のような病気が考えられます。
  • 椎間板ヘルニア
  • 関節炎
  • 心臓病
  • 呼吸器疾患

椎間板ヘルニアと関節炎は、生活習慣など毎日少しずつの負担が原因になるケースが多いといわれていますが、発症や痛みの症状などは突然あらわれます。
とくに椎間板ヘルニアは対応が遅いと重症化してしまうおそれがあります。できるだけ早く病院に行きましょう。

長く歩けない、少しの散歩でゼエゼエと息を切らし立ち止まってしまうなどの場合は、心臓病や呼吸器疾患を抱えているのかもしれません。
気になる様子をみかけたら、獣医師に相談してください。

愛犬を散歩好きにする5つのコツ

嬉しそうに散歩する犬

1.散歩中にアイコンタクトをとる

散歩中に話しかけアイコンタクトをとったり、反応があったときに褒めてあげたりすると、不安や緊張がとれ、安心して歩くことができるようになります。
自転車やバイク、トラックなど、愛犬が怖がっているものを把握できている場合は、とくに効果的です。
アイコンタクトで恐怖の対象から注意をそらしてあげましょう。

2.散歩ルートを見直す

愛犬が苦手なものがいつもの散歩コース上にある、という可能性もあります。その場合はコースを変えることで一気に解決できます。
コース変更が難しい場合は、愛犬が嫌がっている道だけ抱っこやカートで移動するなど、先にあるお気に入りの場所までストレスなく行ける方法を考えてみましょう。
好きなコースやお気に入りの場所ができれば、散歩はぐんと楽しいものになるはずです。

3.ごほうびを活用する

1のアイコンタクトと同じ原理です。
愛犬が苦手としているものを気にしないで済むよう、おやつなどで飼い主さんに注目させます。
苦手なものが人だったり犬だったりする場合には、とくに有効です。
ごほうびで注意を引き付け、愛犬が無事にやり過ごすことができたらOKです。

4.散歩中に難易度の高い課題を与えない

これは散歩時間を利用して愛犬にトレーニングをおこなっている場合に起こりえる原因です。散歩のたびに難易度の高いことを求められ、散歩を楽しめなくなっているのかもしれません。
散歩中のしつけやトレーニングは、とくに散歩が好きな犬に対して効果的だとされています。しかし散歩のたびとなると、散歩自体の印象が悪くなってしまいます。
心当たりのある飼い主さんは、しばらくは愛犬が散歩だけを楽しめるよう、気を付けましょう。

5.リードを強く引っ張らない

散歩中のリードはややたるんだ状態がベストです。
興奮して先へ先へと行ってしまう犬には、ついリードを強く引っ張りたくなりますが、やはり犬にとってはあまり気持ちのいいものではありません。
行ってほしくないところへ行こうとする愛犬を止めるためであっても、強く引っ張りすぎないよう気を付けましょう。

【番外編】犬の散歩にありがちなお悩み・対策

散歩中に興奮する犬

吠え癖

散歩中の吠えは、道で会う苦手な相手に対する恐怖心や警戒心が主な原因です。
飼い主さんからのアイコンタクトやキュー(合図)、コマンド、ごほうびなどでこちらを注目させ、吠えの防止と制止ができるよう日頃からトレーニングしましょう。

飛びつき癖

飛びつきとは、人や犬といった対象物に飛びかかり、押し倒そうとする行動です。
喜びや興奮が原因ですが、犬の前足は地面から浮いた状態となり、転倒事故などを引き起こす可能性もあります。
人や犬とすれ違うときはリードを短く持つ、立ち止まる、回避できるならば回避するなど、日頃から意識をして取り組みましょう。

リードを噛む、引っ張る

原因は、リードで遊んでいる、興奮しているなどのほかに、「散歩に満足していない」可能性があるといわれています。
リードを引っ張られるストレスや、制限が多い散歩に不満を感じているのかもしれません。愛犬が楽しく散歩できるよう、工夫してみましょう。

拾い食い

散歩中、拾い食いの危険にハラハラしながら愛犬のにおい嗅ぎを見守っている、という飼い主さんは多いと思います。
草むらなど、飼い主さんにとって視界の悪い場所を通らなければならない場合は、素早く移動しましょう。
拾い食いが好きな子であれば、安全で視界のよい場所で、飼い主さんの用意したおやつを下に置き、拾い食いごっこをしてみるのもいいですね。

まとめ

散歩中の犬
愛犬が散歩で歩きたがらない場合には、そこになんらかの理由が隠されています。
散歩は犬と飼い主さんにとって、大切なコミュニケーションの時間。さらに絆を深めるためにも、さまざまな視点から愛犬が歩きたがらない理由をさぐり、その気持ちに寄り添ってあげましょう。