犬が誤飲・誤食したかも? 気になる症状をチェック

誤飲をした可能性のある犬
飼い主が見ていないときに犬が誤飲・誤食をしてしまうと適切な対処が遅れてしまうことがあります。
愛犬の様子がおかしい、留守中に物をあさった形跡があるなどの場合には、誤飲・誤食を疑い、次のような症状があるかどうかチェックしてみてください。

犬の誤飲・誤食の症状

  • 落ち着かず、そわそわしている
  • よだれを垂らしている
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 食欲がない
  • 震えている
  • ゲップや咳をする
  • 苦しそうに息をしている
  • 嘔吐する


時間が経ってからの症状として、便秘や下痢、血便などの症状も考えられます。

ただし、なかには無症状の場合もあります。

また、これらの症状はほかの病気でもあらわれる症状なので、必ずしも上記の症状が出た=誤飲誤食ではありません。

誤飲誤食をしてから症状が出るまでの時間は、飲み込んだものの大きさや形状、犬の体格、体内で異物が詰まるタイミングなどによって、差があります。誤飲誤食をしたと分かった時点で病院へ行きましょう。

誤飲・誤食が疑われる際にとるべき行動

部屋の様子でなにか違うところ、出かける前にはあったものがなくなっていないか、破損したものがないか、確認します。ごみ箱のなかや、食べ物や小物が入った箱などにいじったあとはないか確かめます。

誤飲誤食をした形跡を見つけることができなくても、誤飲誤食が疑われる場合や、愛犬の様子がおかしい場合には、なるべく早く受診をしましょう。

アニコム パフェ 獣医師

高野 航平

飲み込んだものによっては、レントゲン検査では写らないものもあります。そのため実際に飲み込んだものの写真や、一部を飲み込んだ場合などはその残りがあれば、内視鏡検査などの際に判断の手助けになるとは思いますが、無理に持って行く必要はありません。

また、誤飲の結果意識を失っている、朦朧(もうろう)としている場合は、無理に吐かせたり口の中に手を入れたりせず、すぐに動物病院に向かってください(後述にもありますが、水をたくさん飲ませるなどの処置も、場合によっては逆効果となったり、検査や麻酔の妨げになったりすることがあります)。

意識のない状態で無理にのどに入ったものを取ろうとすると噛まれ、人間がケガをする原因になることもあります。動物病院に行く前は、できれば電話で連絡をしてから向かうといいでしょう。

家の中の危険なものチェックリスト

おもちゃを噛む犬

とくに危険性が高いもの

以下のようなものを誤飲した場合は、すぐにでも動物病院にいくべきです。

ひも状のもの

電気コードやブラインドの昇降コード、洋服のパーカーひもや靴ひもなど、犬が大好きなひもはいたるところにあります。

食いちぎってしまう可能性があるため注意が必要です。衣服や絨毯、タオルなどを食べてその繊維が体に残っていることもあります。

腸が紐によってアコーディオン状のように折りたたまれてしまいます。また、ただの紐でなくても、女性の長い髪などで同様の症状がおこったという症例も。自己判断せず、病院に指示を仰ぎましょう。

もし愛犬の肛門からひも状のものが出ていたとしても、決して引っ張ってはいけません。腸管を傷つけてしまうことがあるからです。

先端がとがったもの

竹串、つまようじ、釘やピン、針など先のとがったものは、奇跡的に喉を傷つけずに通過しても、胃や腸を傷つけてしまうことがあります。手術で取り出さなければならないケースが多い危険物です。

ボタン電池

アルカリ電池とリチウム電池、それぞれ原因や過程は異なりますが、どちらも短時間で胃や腸などの消化器官に損傷を与えてしまうとても危険なものです。
とくにボタン電池は簡単に飲み込めてしまうので注意が必要です。

洗剤、漂白剤

界面活性剤などが主成分の洗剤類を誤飲した場合には胃や腸が炎症をおこします。液体だけでなく、固形石鹸も危険度は同じです。

乾燥剤

乾燥剤にもさまざまな種類があり、仮に誤飲・誤食してしまってもほぼ無害だといわれているシリカゲル(丸い透明の粒)で作られているものなどもあります。しかしこちらも袋ごと食べてしまったら、腸閉塞を引き起こす危険があります。

生石灰(酸化カルシウム)の場合は、水と反応して発熱するので、皮膚や粘膜に強い刺激を与えてしまう恐れがあります。誤食した際にはすぐに病院へ連れて行かなくてはなりません。

牛乳を飲ませると、胃の粘膜が乳成分の被膜で覆われ、成分を吸収しにくくするため、乾燥剤やシャンプー、洗剤などの誤飲のケースでは効果が期待できます。

ただし。タバコや灯油、マニュキュアといった石油系のものを誤飲したケースでは逆に吸収を促進させてしまうので、注意しましょう。

塩化カルシウムの危険性は、生石灰(酸化カルシウム)ほどではありませんが、やはり同様の処置が求められます。
※こちらの場合は、吐いても大丈夫です。

さらに皮膚についたり目に入った場合は直ちに水で洗浄する必要があります(10分以上)。

保冷剤

保冷剤の成分によっては、中毒症状を起こす可能性があります。とくに、凍らせてもやわらかいままのジェルタイプ保冷材の成分、エチレングリコールは最悪の場合、命の危険性も伴います。

固まるタイプの保冷剤には、水や吸水性ポリマー、防腐剤が入っていますが、こちらの成分については中毒症状が起こる可能性は低いと言えます。ただし大量に食べた場合は注意が必要です。

殺虫剤

家のなかで誤飲・誤食しがちな危険物として必ずあげられるのが殺虫剤で、誤飲・誤食してしまう多くは、ホウ酸団子のように固形でエサ状になっているタイプです。

成分によって危険度は異なりますが、ホウ酸団子のホウ酸は危険な成分といえます。まるごと食べてしまった場合は、水か牛乳を飲ませ、獣医師の診療を受ける必要があります。

量や状況によっては危険なもの

ここで紹介するのは、犬が興味を示し誤食しがちなものです。食べた量が少なく、運よく異物が便としてでてくれることもあります。しかしたくさん食べてしまった、元気がない、いつもと様子が違うなどの場合は、病院を受診する必要があります。

おもちゃ(ボールやロープ、ぬいぐるみなど)

どんなに頑丈に作られた犬専用おもちゃでも、ちぎれたり折れたりします。また、大型犬の子犬などはとくに、驚くほど大きいものでも丸飲みしてしまうことがあります。おもちゃは大きさに関係なく注意が必要です。

ティッシュ、トイレシーツ

ちぎれやすいものを見ると多くの犬は、ちぎって遊びたくなる衝動に駆られるようです。噛みちぎって遊んでいる間に誤食してしまう可能性が高く、またどれくらいの量を食べてしまったのか正確な量の把握が難しいので危険です。

ティッシュやトイレシーツは、便として出てくることもありますが、大量に食べてしまうと、腸で詰まってしまうこともあります。とくに小型犬の場合は、危険度が高まります。

またトイレシーツに吸水ポリマーが入っている場合、胃の中でふくらんでしまう恐れもあります。量や素材を確認したうえで獣医師に相談する必要があるでしょう。

枕やクッションの中身

枕やクッションの角を好んでかじったり、しゃぶったりする子がいます。これはとくに危険な行動にはみえませんが、ファスナーが開いてしまったり布が破けたりしたときに出てくる、発泡スチロールやビーズなど中身の誤食には注意が必要です。

大きいかたまりのまま丸飲みにしていたり、食べた量が多かったりする場合は、動物病院に連れて行ったほうがいいでしょう。

段ボール、紙類

犬は段ボールやトイレットペーパーの芯など、厚めの紙が大好きです。
紙類の誤食は少量であれば大抵は便と一緒に出てくるので、それほど心配する必要はありません。

しかし大量に食べる、または日常的に食べてしまっている場合は、胃に残り腸に詰まることもあり得ます。

室内の観葉植物

アイビーやポトスなど犬にとって有害な観葉植物があります。誤食してしまうと量によっては中毒症状を引き起こす可能性があります。下記のような植物を置かないことが一番ですが、食べてしまったときはすぐに病院へ連れて行きます。直後に症状がでなくてもあとから重症化することがあります。

危険な観葉植物:アイビー、ポトス、モンステラ、ディフェンバキア、ドラセナ、アロエ、カーネーション、ポインセチア、シクラメンなど

洋服のボタン

洋服のボタンはかじりやすく取れやすい、誤食の可能性が高いものです。洋服のチャックを好む子もおり、金属製のものでも簡単に噛みちぎってしまいます。ボタンは小さく、先端が尖がっていないからといって、安心はできません。元気がない、いつもと様子が違うときは、すぐに病院に行きましょう。

使い捨てカイロ

使い捨てカイロの中身は鉄砂、炭、塩などでそれぞれには毒性はないといわれています。

しかし未開封のものは誤食中に発熱する可能性があり、また、口の中がただれたり、異物を出そうと嘔吐を繰り返したりと、なんらかの悪影響を及ぼすことがあります。

人間が口にするもので危険なもの

次に紹介するものは、人間が口にするもので部屋やキッチンに置かれていることが多いため、誤飲・誤食のリスクが高いものです。
人間にとっては安全なもの、おいしいものでも犬にとっては危険なものがありますので注意が必要です。

食用油

それ自体に毒性はありませんが、下痢や嘔吐を引き起こす可能性が高く、
キッチンに残った廃油は、犬にとっておいしそうなにおいをさせていますので誤飲のリスクが高いです。

自力で吐いてケロッとしている犬もいますが、小型の犬であったり、飲んだ量が多い場合には膵炎などのリスクがでてきます。医師に相談することをおすすめします。

お酒

犬はアルコールを分解できない動物です。体が小さければ少量でも中毒症状を起こし、死に至ることもあります。アルコール飲料はもちろん、アルコール入り薬剤なども危険です。

人用の薬やサプリメント

有毒な成分が入っていなくても、犬の体に対して過剰摂取となり、健康が脅かされるケースがあります。
容器や包装シート丸ごとの誤食事故も多いので気を付けましょう。

人間の食べ物で犬が中毒を起こす恐れのあるもの

チョコやたまねぎ、ぶどうなど、私たち人間が普段口にするもので、犬にとっては危険なものがあります。急性の貧血や血尿を引き起こすネギ類や、テオブロミンというカカオの成分が中毒を引き起こすチョコレートなど、人間にとっては身近な食品なだけに注意が必要です。

散歩中の危険なものリスト

散歩する犬

とくに危険度の高いもの

室内での飼育環境を整えていても。一歩外に出れば、犬にとって危険なものはたくさん存在します。散歩中の犬は嗅覚を働かせて探索することを喜びとしていますので、飼い主さんが先回りして危険なものに近づけないように気を配る必要があります。

たばこの吸い殻

誤飲・誤食し、体内にニコチンが吸収されてしまった場合は、ニコチン中毒症を起こし、最悪の場合は死に至る危険なものです。

ニコチンは水溶性であるため、たばこの吸い殻だけでなく、たばこが濡れてニコチンが溶け出している液体はさらに危険です。

危険なものを誤食してしまった際の応急処置として、水や牛乳の摂取をすすめるケースもありますが、たばこの誤飲に対してはかえって事態を悪化させかねません。自己判断はせず、すぐにかかりつけ医に連絡しましょう。

屋外の有毒植物

室内の観葉植物だけでなく、屋外の植物にも犬にとって有害な植物があります。

アジサイ、ユリ、スイセン、パンジー、アロエ、チューリップ、アサガオ、スズラン、ヒガンバナ、イチョウ、ハイビスカス、ナンテンなど、身近な植物で犬にとって有毒なものは意外に多いものです。

植物全体がNG、球根部分だけがNGなど色々ですが、除草剤や殺虫剤などが使用されている植物も多いと考えると、全体的に犬にはよくないものだと注意しておくといいかもしれません。

量や状況によっては危険なもの

公園、草むらや茂み、ベンチのまわりや停車中の車の下など、思わぬところに落ちているものを犬は見つけてしまいます。次に紹介するのは、犬がにおいによって引き付けられ、拾い食いのリスクがとくに高いものです。

食品トレー

食べ物のにおいがついているトレーは犬には魅力的です。大きさや形によっては腸閉塞を引き起こす可能性があります。気を付けましょう。

猫など動物の糞や屍骸

猫やネズミなどの糞尿、小動物の屍骸などの誤飲・誤食は感染症や回虫、ノミやダニがつく危険性があります。

人間の食べ残し、生ゴミ

食べ残しや生ゴミの中には、骨や種、芯など形や大きさが危険で、消化しづらいものが多いので注意が必要です。

とくに果物や野菜の種を飲み込んでしまうと、中毒を起こしたり、腸閉塞を起こしたりすることがあり危険です。

石、砂

ミネラル不足やお腹に寄生虫がいるなど、犬が石や砂を食べてしまうのにはさまざまな理由があります。誤飲・誤食した石や砂にある程度の大きさがある場合は体外への排出が難しく、腸閉塞を起こしてしまう可能性があります。

アニコム パフェ 獣医師

高野 航平

もし、犬が誤飲誤食をしてしまった場合、家でできる応急処置はほとんどありません。異物を飲み込んだことが判明し次第、できるだけ早めに動物病院に行くのが一番。かかりつけの先生がお休みの場合は、ほかの病院を受診しましょう。とにかく、早い通院が一番の対処法です。

牛乳をたくさん飲ませる、塩をたくさん食べさせるといった民間療法は、場合によっては危険があります。たとえばおもちゃを誤飲した際に飲ませてしまうと、その後すぐ麻酔をかけて内視鏡や手術にて取り出すことになった際に、胃の中にたっぷり液体があると誤嚥などのリスクがあがり、場合によっては麻酔をかけられなくなることもあります。

洗剤、シャンプー、お薬、乾燥剤などの際には有効といわれていますが、それ以外の場合はやめましょう。また、食塩を大量に摂取すると腎臓への負担がかかることなどにもつながるため、こちらもおすすめしません。犬を逆さにして振るといった行為も、誤嚥などの危険性があるのでやめましょう。オキシドールといった薬品を使うのも危険です。

誤飲・誤食が引き起こす深刻な健康被害

動物病院の犬
犬が誤飲・誤食をした際に心配となるのが、下記のような深刻な症状に発展することです。

食道の閉塞

犬が慌ててなにかを飲み込んだときに、起こりやすいのが食道閉塞です。よだれや吐き気など、犬が目に見えて苦しみだすことで、発覚するケースが多いのが特徴です。

治療法は、異物が食道を通過できる大きさであり、かつ胃内で消化できるものであれば、内視鏡で胃の中に落とすという処置がとられる場合もあります。

消化できない異物や食道を傷つける恐れのある異物のほかに、大きさによっては食べ物でも、食道を切開して取り出すか、鉗子などを使って、口から取り出す処置がとられます。

胃の通過障害

胃に入った異物が、幽門と呼ばれる胃の出口にあたる部分を塞いでしまうことで発生し、消化器にダメージを与えたり、ショック状態を起こしたりしてしまうことがあります。

誤飲・誤食後にすぐ発生するとは限らず、消化できない異物が胃の中にとどまり、しばらく自覚症状がないまま過ごし、なにかがきっかけで異物が幽門に詰まってしまうことがあるのです。

また、焼き鳥の串などのような尖ったものを飲み込んでしまうと、消化器を傷つけたり、穴をあけたりしてしまう恐れもあります。

治療は外科的処置(内視鏡や開腹による異物除去)となるでしょう。

腸閉塞

異物が胃を通過して腸の中で詰まってしまうと、腸閉塞となります。何カ月も前に誤飲・誤食したものが、ある日突然、腸をふさいでしまうこともあります。

腸が通過障害をおこしていたり、異物によって腸の血管の血液循環が妨げられたりすると、腸粘膜の損傷や腸管の壊死、ショック状態に陥るなど、重症化することも。

腸閉塞の治療法は外科手術になります。

中毒

口にしたものの成分・量によって中毒の症状は異なります。主な症状には、嘔吐や下痢、震えや痙攣などがありますが、愛犬が中毒を起こすリスクのあるものを誤飲・誤食した際には、自己判断はせず、獣医師に相談するようにしましょう。
食べたものの内容物と量を把握し、獣医師に伝えることが重要です。

血液検査や各種検査を行い、状態に合わせて点滴や中毒症状の緩和ケア、中和のための薬物投与などをおこうことがあります。

病院での処置のケース

誤飲・誤食事故で動物病院を受診した際には、以下のような処置を受けることになります。

催吐

誤食した異物が胃の中にあるなど吐かせて出したほうがよいと判断された場合の処置です。
催吐はたいてい、嘔吐を誘発する薬の入った注射を打つ方法がとられます。催吐は強制的に吐かせるという処置なので、家で自己判断でしようとすることは危険です。必ず病院を受診しましょう。

胃洗浄

薬物や毒物を誤食してしまったときの処置法です。
鼻または口からチューブを差し込み、胃の中に生理食塩水を何度も出し入れして、胃を洗います。

内視鏡

吐き出させるのが難しい状況や、串など吐き出させるのが危険なものの場合は、この処置になります。
内視鏡とは胃カメラのことで、胃カメラと鉗子で誤食してしまった異物を回収します。

開腹手術

全身麻酔をかけ、胃または腸を切開して異物を取り出したり、腸の閉塞を解除したりする方法です。

異物が内視鏡ではとることができない大きさの場合や、内視鏡が届かないところにある場合なども、手術となることがあります。

拾い食いを止めさせるコツとは

ゴミ箱をひっくり返した犬
犬に拾い食いをさせないようにするには飼い主さんの危険物に対する意識と配慮が必要になります。

犬にとっては目の前にあるものを口にしてみるというのは本能的な行動であり、フード以外を絶対に口にしないよう教え込むのは難しいといえます。愛犬が口にしてしまってから、大声で叱りつけた結果、逆に焦って飲み込んでしまうといったケースもよく耳にします。

危険なものは、徹底して愛犬の目のつくところに置かないのがもっとも効果的な予防策となります。

散歩中の誤食の多くは、ポイ捨てや不法投棄されたごみや食べ残し、たばこの吸い殻などが原因であり、残念ながらいつどこに落ちているかわからないものです。

散歩中も飼い主が目を配り、愛犬を危険物に近づけないようにするしかありません。


ここでは愛犬を誤飲・誤食の危険から守る方法を紹介します。

家の中の危険物について

キッチンや物がたくさんあるところは入室禁止に

ストックフードや野菜、生ゴミなどがあるキッチンは、ガードを設けて犬が入れないようにしましょう。

ガードは、つっぱり棒タイプで取り付けが簡単なもの、片手でロック開閉ができる扉付きのものなど、シンプルかつ高性能なものがたくさん出ています。
犬のサイズを考え、押し倒されたり飛び越えられたりしないものを選びましょう。
関連する記事

誤飲・誤食が心配されるものはすべて棚の中に

薬や化粧品、洗剤など、「届かないところにポンと置く」だけでは、なんらかのアクシデントで落ちてきてしまう可能性もあり、誤飲誤食の危険性がないとは言えません。

すべて扉の付いた棚やケース、引き出しなどにしまいましょう。ゴミ箱も蓋付きにすると安心です。

普段のしつけでできること

普段のしつけを通して拾い食いを未然に防ぐことができます。代表的なものを紹介しましょう。

「行動を止めるしつけ」で、拾い食いを防止

たとえば「マテ」「ストップ」「ノー」などの合図で、犬の行動を止められるようにしておくと、あらゆるシーンで役立ちます。

「咥えているものを離す」トレーニングで飲み込みを防ぐ

「ダセ」「チョウダイ」などの合図で、咥えているものを離せるように教えておくと安心です。
遊びを通し、飼い主さんが持っている別のなにかと「交換」してもらうことから始めるとスムーズです。

許可なくものを口に入れない習慣付けで、誤飲・誤食を予防

「マテ」「ヨシ」などの飼い主さんの許可がなければ口には入れないと覚えてもらう方法もあります。
室内でリードを着け、床におやつを置き、飼い主さんは床に置いたものよりおいしいおやつを手に持ち、練習してみましょう。

愛犬が下に落ちているおやつに気付き興味を示したら呼び止め、手に持つおいしいおやつを見せましょう。
下に落ちているものを無視できたら成功です。
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獣医師からのメッセージ

誤飲・誤食の一番の対策は、わんちゃんの行動範囲内、手の届くところに、万が一飲み込んでしまったら困るものを置かないようにすることが一番です。

おもちゃを与えるときは、飼い主様の目の届くところで遊ばせ、パーツをちぎって遊ばないか、まるごと飲み込まないかなどの確認をしてから与えるようにしましょう。

拾い食いをしないよう、しつけや「ちょうだい」の練習をするのも大切です。
ただ、それでも、お散歩の最中やご家族がうっかり何かを落としてしまったときなど、わんちゃんが望まないものを口にしてしまう事故は起こる可能性があります。

事故が起こってしまった際、一番大切なのは、すぐに動物病院へ行くことです。おうちで様子をみたり、その時元気だからと楽観視せず、すぐにかかりつけの動物病院へ連絡をとりましょう。

また、万が一のために、おうちの周りの動物病院の場所営業時間を把握しておく、かかりつけの先生に、病院がお休みの際の提携先や、病院が閉まっている時間の対応について確認しておく、夜間救急病院を確認しておく、といったことを普段から心がけると安心ですね。

まとめ

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子犬は好奇心旺盛ですし、子犬でなくてもおいしそうなにおいがすれば食べてみたいと思い、おもしろそうなものがあれば確かめてみたいと思うのはごく自然なことです。

誤飲・誤食事故を防ぐためには飼い主さんのリスク管理が重要なのです。
現実的には、愛犬から四六時中目を離さないわけにはいきませんから、まずは愛犬も飼い主さんも安心して過ごせる環境づくりをしっかりと心がけましょう。