犬の登録「畜犬登録」とは?

畜犬登録
犬の飼い主は、現在自分が住んでいる市区町村に「畜犬登録」をおこなう必要があります。これは「狂犬病予防法第4条」に規定されており、日本において犬を飼う人全員に対する義務なのです。

登録の目的は、犬の所有者をはっきりさせることです。
畜犬登録の情報は行政のデータベースに反映され、どこの住所でどんな犬が飼われているのか把握されています。万が一、狂犬病のような伝染病が発生した場合でも、発生源と影響範囲を突き止め、迅速な対応をおこなうことができるのです。

畜犬登録は、原則として1頭につき1回ですが、引っ越しや所有者の変更がある場合には、その都度届け出が必要です。

畜犬登録はいつまでにおこなうの?

畜犬登録は、犬を所有してから30日以内が期限です。
保護犬や譲渡犬など、成犬を飼いはじめる場合も、所有してから30日以内のルールが適応となります。
ただし、生後91日以内の犬は、生後120日以内に登録を完了する必要があります。

登録に必要なもの

基本的には、現在住んでいる市区町村長に届け出をすることになります。
まずは「犬の登録申請書」を入手しましょう。これは役所の担当窓口でもらえたり、ホームページからダウンロードしたりすることも可能です。

犬の登録申請書には、下記のような項目を記入します。
  • 飼い主の情報…住所、氏名、電話番号
  • 犬の情報…名前、生年月日、種類(犬種)、毛色、性別
申請書に記入したら、住んでいる市区町村の担当窓口にて手続きをおこないます。

なお、自治体によって登録方法は異なるので、あらかじめ自分が住んでいる地域について調べておくとよいでしょう。

畜犬登録は、1頭につき3,000円の登録料がかかります。

狂犬病予防接種を受けましょう

狂犬病ワクチンと犬
畜犬登録と同様に犬の飼い主に義務付けられているのが、年に1度の狂犬病予防接種です。これは犬が誕生してから一生涯の間、必要になるものです。

狂犬病とは、犬だけでなくすべての哺乳類に感染リスクのある病気です。もちろん人間も例外ではなく、発病すると治療方法がなくほぼ100%死亡するとされる恐ろしい病気です。
約4,000年前から存在が確認されていましたが、現在でも感染を予防する以外の対処方法は確立されていません。

かつては日本でもたくさんの犬が狂犬病を発病していました。
しかし、1922年に「家畜伝染病予防法」によりワクチン接種が義務となると、かつて年間3,000件を超えていた発病件数が、年間わずか数件にまで激減します。
海外への渡航で感染する事例はありますが、1950年の「狂犬病予防法」で年に1回のワクチン接種が義務付けられると、その6年後を最後に日本での発病は確認されていません

予防接種を受ける場所や時期

狂犬病予防接種は、行政がおこなう集合注射に出向くか、近くの動物病院で受けることができます。

集合注射は地域の小中学校などの施設でおこなわれ、指定された日時に会場へ行って予防接種を受ける方法です。畜犬登録している市区町村から、年に1回(4月頃)に狂犬病予防注射の通知が入ります。

また、動物病院では、年中狂犬病の予防注射に対応しています。注射が苦手な犬の場合は、通い慣れた病院で受けるのもよいでしょう。費用は病院によって変わるので、あらかじめ問い合わせしておくことをおすすめします。

予防接種を受けたあとにもらうものや必要な手続き

集合注射や動物病院で予防接種を受けたら、注射済票が発行されます。これは狂犬病予防接種を受けたことの重要な証明になるため、必ず受け取り保管しましょう。

また、住んでいる市区町村以外の動物病院で受けた場合は、別途証明書を受け取り、管轄の役所にて改めて注射済票を発行してもらう必要があります。
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登録や狂犬病予防接種をしなかったら

犬のいないドッグラン
飼い主の義務である畜犬登録や年に1度の狂犬病予防接種。これらの義務を果たさない場合は、狂犬病発症のリスク以外にもさまざまなデメリットを覚悟しなければなりません。

ドッグラン、ペットホテルなど利用できない可能性がある

さまざまな犬が集まる場であるドッグランやペットホテル。多くの施設で、狂犬病予防接種を受けていない犬の入場やお預かりを断っているケースがみられます。施設利用の際は、受付にて注射済票などの提出を求められることも。
このような施設利用の制限がかかることは、犬にとっても飼い主にとっても不利益になることは間違いありません。
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迷子になったときに見つかりにくい

狂犬病予防接種を受けた犬には、必ずオリジナルナンバーの付いた鑑札が発行されます。
これは畜犬登録の内容と紐づくもので、犬の首輪等に鑑札を着けると、もしものときのための迷子札になるのです。

罰金の対象になる可能性も

狂犬病予防法の第5条には、予防注射の違反について規定されています。もし予防注射を受けなかった場合、20万円以下の罰金に処される可能性があります。



狂犬病注射を受けないことのデメリットは決して見過ごせるものではありません。大切な愛犬を守る意味でも、必ず予防接種を受けさせるようにしましょう

引っ越しなどは犬も手続きが必要

お出かけする犬
畜犬登録は犬の所有者や所在を明らかにするものですが、もし飼い主が引っ越ししたときや、犬が亡くなってしまったときは、どのような手続きが必要なのでしょうか。

飼い主が引っ越す場合の手続き

どこからどこへ引っ越しをするのかにより、必要な手続きが異なります。

【同一市区町村内での引っ越し】
旧住所の役所か保健所にて、登録事項変更届を提出します。

【ほかの市区町村への引っ越し】
はじめに旧住所の役所か保健所にて、登録事項変更届を提出します。
鑑札を受け取ったあと、引っ越し先の役所もしくは保健所で、登録事項変更届をもとに、犬の転入手続きと鑑札の提出をおこないましょう。

手数料は無料ですが、鑑札をなくしているときは再発行の手数料が必要になることもあります。
また、転入前の登録情報が確認できない場合は、再度3,000円の登録手数料がかかることがあるため、手続きは確実におこないましょう。

犬を譲渡した際の手続き

引っ越しのときと同様に、旧住所の役所か保健所にて登録事項変更届を提出します。
その後、新しい飼い主が新住所の役所または保健所にて、登録事項変更届を提出し、鑑札を受け取ります。

手数料は無料ですが、鑑札をなくしているときは再発行の手数料が必要になることもあります。

犬が死亡したとき

畜犬登録の抹消手続きをおこないます。登録のある市区町村の役所または保健所にて手続きをおこない、注射済票と鑑札を返却します。

まとめ

秋田犬の親子
以上、畜犬登録や狂犬病予防接種、犬の引っ越し手続きなどについて説明しました。
役所や保健所での手続きは大変なイメージがあるかもしれませんが、犬の登録方法はいたってシンプルです。役所が混雑していなければ対して時間もかかりませんので、忘れずにおこなってくださいね。