帰省に犬は連れて行く? 留守番は可能なの?

首をかしげる犬

24時間の留守番は難しい

近年は夫婦共働きの家庭が増え、ペットの留守番時間も長くなっています。
しかし、社会性が強く、単独行動をあまり好まない犬にとって、長時間のお留守番は精神的につらいものです。
食事や散歩のタイミング、トイレなど生活の時間割も考慮すれば、犬だけの留守番は最大でも12時間程度が限界でしょう。

犬によって留守番できる時間は違う

活発な犬とそうでない犬、若い犬とシニア犬、単独飼育か多頭飼育かなど、個体差や環境によって、留守番のできる時間は異なってきます。

たとえば、好奇心が強く、体力のあり余っている若い犬は、長時間の留守番は難しいと考えられます。
一方で、落ち着いた性格で、散歩などの外出よりは家にいてのんびり過ごすほうが好きな犬では、活発な犬に比べて留守番が得意といえるでしょう。

犬を留守番させる場合の注意点

12時間以上犬に留守番をさせる場合、いつもなら1日2~3回に分けて与えているフードを、1日分皿に盛りつけて出かることになります。

しかし、フードをまとめて置かれると、たいていの犬は残しておこうと考えず、食べられるだけ食べてしまいます。
一気食いにより、胃腸に負担がかかったり、嘔吐してしまったりする場合もあります。

また、室内トイレができる愛犬でも、留守番が長時間になると、ペットシーツが排泄物でいっぱいになり、踏んで汚してしまうこともあります。

愛犬の健康管理と留守中の事故防止のため、長時間家を空ける場合はペットホテルやペットシッターの利用をおすすめします。

愛犬との帰省は適切な移動手段を選んで

飛んでいる飛行機

自動車

メリット

車での移動は、プライバシーを確保しながら、自分たちのペースで移動できるのがメリット。
休憩が取りやすく、愛犬の様子を確認しながら移動できます。
公共交通機関のように、ほかの乗客もいないため、車内では周囲への気遣いも不要です。

愛犬が車移動に慣れている場合は、負担も小さく、いつものお出かけ気分で帰省できるでしょう。

デメリット

車での帰省は、到着時間が読めないのが難点。
渋滞にはまったり、道に迷ったりと予想以上に時間がかかってしまうことが考えられます。

また、もし愛犬が日ごろから車での移動に慣れていない場合は、車酔いをする可能性もあります。

車内で愛犬を見ていてくれる人がいない場合、ドライバーは愛犬の様子と交通状況の両方に気を配りながら運転することになります。

注意点

プライベートな空間でも、車内は自宅とは違います。
長距離・長時間を車で移動するときは、こまめに休憩を取りましょう。
季節問わず、水分補給はしっかりおこない、愛犬が車酔いをする場合は、事前に動物病院から酔い止めをもらっておくとよいでしょう。

また、移動中に逃げだして迷子になってしまったら、犬も人も土地勘がないため、再会は絶望的です。
輸送用キャリー(クレート)の中でも首輪と迷子札はしっかりとつけておき、休憩時間以外はクレートから出さない方が安全です。

レンタカーを利用したい場合、レンタカー会社にあらかじめ問い合わせて、犬を乗せてもよいか確認しておきましょう。利用可能な場合は、犬を車に乗せる際の条件や注意点などもあわせて確認すると安心です。キャリーに入れること、利用後に清掃をおこなうことなどを条件とするレンタカー会社が多いようです。

こんなときにおすすめ

自動車利用での帰省は、こんなときにおすすめです。

  • 公共交通機関で輸送可能なサイズより、大きな犬を飼っている
  • 愛犬がよく吠えるので、公共交通機関を利用しづらい
  • 高齢犬、持病のある犬を飼っていて、こまめに様子を見ながら移動したい

新幹線、電車、バス

メリット

時刻表があるため、予定を立てやすいのが公共交通機関を利用するメリットです。

デメリット

計画的な移動に便利な新幹線、電車、バスですが、持ち込みできる輸送用キャリーの大きさには規定があり、大型犬サイズは持ち込み不可の路線がほとんどです。
中型犬サイズまで持ち込み可能でも、運営会社によっては手荷物扱いとなり、別に手荷物料金がかかってしまうこともあります。

注意点

公共交通機関の利用者のなかには、犬が苦手な人やアレルギー疾患をもっている人もいます。
頭やしっぽなど体の一部を含めて、犬をキャリーから出さないことは最低限のマナーです。

人の移動の妨げにならないように、既定のサイズや重量のルールも守りましょう。
新幹線利用の場合、自席の足元に収まらないサイズのクレートは「特大荷物スペース付き座席」の予約が必要になることもあります。

こんなときにおすすめ

新幹線や電車、バスを利用する移動方法は、こんなときにおすすめです。

  • 既定サイズのキャリーに収まるサイズの犬を飼っている
  • 長時間キャリーに入っていても、吠えずに大人しくしていられる
  • 遠方への移動で、上記の条件に当てはまる

飛行機

メリット

遠距離の移動では、意外とメリットが大きいのが飛行機での移動です。
小型犬から大型犬まで乗せることができ、日本国内の直行便なら空港間2~3時間で到着するところがほとんど。

また輸送用キャリーの貸し出しサービスをおこなっている航空会社もあります。ケージの貸し出しについては数に限りがある場合や予約が必要な場合もあるため、事前に利用する予定の航空会社に問い合わせてみましょう。

デメリット

犬を伴って飛行機を利用する場合でも、別料金が必要となります。
また、犬は客室ではなく貨物室に置かれるため、客室ほど温度が安定しておらず、音もうるさく犬には大きなストレスがかかる恐れがあります。
天候や運行状況などにより、予想以上に時間がかかることがあります。

注意点

飛行機での犬の輸送は、犬の心身に大きなストレスがかかる可能性があります。
犬が置かれる貨物室は、とくに夏期には温度・気圧とも不安定となり命にかかわるため、短頭種や一部の超小型犬は輸送を引き受けてもらえません。

犬を飛行機に乗せるときは、貨物室のスペースを確保するため、予約が必要です。
また、預け入れ時間の締め切りを出発1時間前くらいに設定している便も多いので、予約の際に確認しておきましょう。

こんなときにおすすめ

飛行機を利用する移動方法は、こんなときにおすすめです。

  • 健康な中型犬、大型犬を飼育していて、帰省先が遠方の人
  • 空港から目的地への乗り継ぎ移動が容易な人

犬連れで帰省する際に必要な持ち物リスト

旅行の準備をする犬

必須アイテム

フード

生活環境が変わったうえにフードも変わってしまうと、不安から食事ができなくなってしまう犬もいます。
帰省先や旅先には、いつものフードを持参しましょう。
いつも使っている食器を一緒に持っていくのもおすすめです。

帰省など長距離移動の際、忘れずに持っていきたいのが「」。
飲み水としてだけでなく、トイレ後に排泄物を流したり、汚した場所を掃除する際に使ったりと大活躍です。

トイレグッズ

環境が変わると、トイレをがまんしてしまう犬は少なくありません。
普段、室内でトイレをしている子であれば、使い慣れているトイレシーツを持参するのがおすすめです。

排泄物を入れるマナー袋やウエットティッシュなどは、帰省先や旅先で入手しづらいこともあるため、十分に用意しておきましょう。

使い慣れたタオルやベッドなど

帰省先や宿泊先などふだんと異なる環境でも、自分や家族のにおいのついた毛布やタオルがあると、犬は安心して過ごせます。
荷物が負担にならないようなら、愛犬お気に入りのベッドを持っていくのもよいでしょう。

お散歩グッズ

リード、首輪(ハーネス)、水、マナー袋、トイレットペーパーなど、いつものお散歩グッズは必ず持っていきましょう。

クレート(キャリー)

小型犬や超小型犬の移動では、布製のソフトキャリーを使う方もいますが、安全のためにはクレートと呼ばれるハードキャリーがおすすめです。

クレートの多くは耐久性の高いプラスチックでできており、クレートになにかが落ちたりぶつかったりしても、犬にケガをさせにくいです。
ハウスの代わりに使うこともできるので、日ごろから家庭で使い慣れておくとよいでしょう。

ワクチン証明書

ドッグランやドッグカフェを利用する際、狂犬病ワクチンや混合ワクチンの証明書の提示を求められることがあります。
旅先で急に体調不良になることも想定して、これらの証明書は忘れずに持っていきましょう。

常備薬

愛犬に常用している薬があれば忘れずに持参しましょう。万が一、体調に変化があったときのために帰省先の最寄りの動物病院を調べておくことをおすすめします。

あると便利なアイテム

折り畳み式サークル

帰省先は飼い主にとっては自宅同然でも、愛犬にとっては慣れない場所です。
屋内であっても、行動範囲を広くしてしまうと、思わぬ場所から逃げ出してしまうこともあります。

折り畳み可能なサークルがあれば、持ち運びも簡単で、帰省先でも設置でき、とても便利です。
日頃からサークルに慣らしておけば、愛犬にとっても落ち着ける場所になります。

粗相対策グッズ

室内トイレを上手にできる愛犬でも、環境が変わればトイレを失敗することがあります。
トイレットペーパーやゴミ袋のほかに、マナーパンツやマナーベルトを用意しておくと安心です。

抜け毛対策グッズ

帰省先でペットを飼っていない場合は、愛犬の抜け毛対策も必要となるでしょう。粘着ローラーやブラシなど、抜け毛のお掃除グッズを持参することをおすすめします。

室内の気温が高くなく、愛犬が服を着るのを嫌がらなければ、服を着せるのも一つの手です。

愛犬と帰省する前にしておきたいこと

トリミング用品

シャンプーとトリミング

飼い主にはほとんど気にならない愛犬の体臭ですが、犬を飼っていない人のなかには、犬のにおいを不快に感じる人もいます。
帰省の前にシャンプーとトリミングを済ませ、清潔にしておきましょう。

犬も一緒に行くことを伝えておく

帰省先の家族に、犬が苦手な人や犬アレルギーの人はいませんか?
帰省シーズンは、兄弟姉妹などほかの家族や親せきも集まることがありますので、事前に確認を取っておきましょう。

愛犬との帰省で注意したいこと

犬をなでる家族

愛犬から目を離さない

飼い主にとっては落ち着ける実家でも、愛犬にとってはいつもと違う環境です。
知らない人たちに囲まれ、話しかけられることで、愛犬は緊張から気疲れしてしまいます。
帰省先では愛犬から目を離さず、いつも以上に様子を観察しましょう。

ほかにも来客がある場合、とくに小さな子どもがいるときは、愛犬のそばを離れないよう注意してください。

いつも通りを再現する

いつもと違う環境にいても、食べ慣れているフードやおやつを食べ、自分や家族のにおいが染みついたタオルやベッドを使うことで、愛犬は落ち着けるものです。

ごはんや散歩の時間も含めて、できるだけ「いつも通り」に近い形で過ごしましょう。

帰宅後も気を抜かない

長い人の場合、1週間以上、帰省先で過ごすこともあるでしょう。その後、無事に帰宅できるとホッとしますよね。
しかし、本格的に帰省中の疲れが出るのは、帰宅してからです。

愛犬が食欲をなくしたり、元気がなくなったりして、休んでばかりという様子が見られたら要注意。
帰宅後もしばらくは、変わった様子がないか気にかけてあげましょう。

まとめ

犬と旅行かばんを持った女の子
帰省先や移動の途中で犬が迷子になったり、事故にあったり病気になったりというトラブルは、意外と多くあるものです。
愛犬にとって飼い主の家以外は、慣れない場所であり、移動時間を含めて、不安と緊張が続いてしまうことがあります。
帰省先までの移動では、愛犬の負担を少しでも減らせるように、持ち物やルート、休憩時間をしっかり計画することが大切です。
帰省先では、住宅環境を考えながら、事前の準備をおこなう必要があるでしょう。
この記事を参考にして、じっくり検討したうえで、愛犬との帰省に臨んでくださいね。