テリアの特徴
それは、テリア種が猟犬としてのより高い能力を求められ作られた犬であること、なかには闘犬として作出された犬もいるためといえます。
猟犬として優れた素質を持っているテリアが、現代の社会のなかで家庭犬として暮らすには工夫や配慮が必要です。それがうまくいかなければお互いストレスとなり、扱いづらいと感じてしまうでしょう。
トイプードルやチワワといった、愛玩犬として生まれた犬種とは異なる素質をもつため、以前愛玩犬を飼っていた人がテリア種を飼いだすと、戸惑うこともあるようです。
テリア種の特徴や性格、飼育ポイントを理解しておくことが重要といえます。
テリアの性格
テリアを見ていると、自信に満ちあふれた、エネルギッシュな印象を受けます。勇敢で活発な性格が、そのようなテリアイメージを作り上げているのですが、猟犬に共通する気質といってもいいかもしれません。
好奇心旺盛で遊び好きでもあり、高い運動能力とスタミナをもちあわせています。
ただ、これらのテリアの魅力と長所といえるものが転じて、飼育の難しさにつながるケースもあります。
対応の仕方とあわせてご紹介しましょう。
ときどきはしゃぎすぎる
なにかの刺激で興奮し、ハイテンションになってしまうこともあります。
いたずらしたり、家のなかで激しく走り回ったり、吠えたてたりして困ることもあるでしょう。
これらは、パワーがあり余っていることが原因ですので、運動をたくさんさせてなるべくストレスや退屈な時間を増やさないよう心がけましょう。
散歩の時間を増やすことができるなら、それに越したことはありません。難しい場合は、追いかけっこや引っ張りっこといった体力を使う遊びを散歩中に取り入れてみるといいでしょう。
自己主張が強く頑固
一方で非常に賢く従順な性格でもありますので、ほかの犬種と比較してしつけがしやすいという見解もあります。
大型テリアであるエアデールテリアなどは、その賢さと高い使役能力をかわれ、警察犬犬種に指定されています。
落ちつきのある子に育てるためには、しつけを通して飼い主に注目させることを習慣づける必要があります。
ドッグランでの遊びや追いかけっこのなかで、マテやコイ(呼び戻し)をしっかり覚えてもらいましょう。
楽しく覚えてもらうこと、コマンドやキュー(合図)の言葉を統一するのがポイントです。
勇敢なだけに気が強い一面もある
しかしテリアは、気が強いと同時に、明るく、学習意欲が高い犬種です。
トレーニングが楽しいもので、褒められることだと知れば、喜んで飼い主さんの期待に応えてくれるはずです。
おすすめは、オスワリやマテといったコマンドで、愛犬をクールダウンさせるトレーニングです。
すぐに身に着けることは難しいですが、運動やゲーム・遊びを通して、愛犬が少しずつ楽しく学習できるようにしましょう。
そもそもテリアってどんな犬?
テリアの種類は32種類!
テリアグループはさらに、「大型及び中型テリア」「小型テリア」「ブルタイプテリア」「トイテリア」の4つのセクションにわけられています。
テリア犬種 全32種 ※JKC公認
セクション1 大型及び中型テリア | アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリア アイリッシュテリア エアデールテリア レークランドテリア(記事内で紹介) ウェルシュテリア(記事内で紹介) ぺドリントンテリア(記事内で紹介) ケリーブルテリア ジャーマンハンティングテリア スムース・フォックス・テリア ボーダーテリア パーソンラッセルテリア マンチェスターテリア ワイヤーフォックステリア |
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セクション2 小型テリア | ウェストハイランドホワイトテリア(記事内で紹介) ジャックラッセルテリア(記事内で紹介) ノーフォークテリア(記事内で紹介) スコティッシュテリア(記事内で紹介) ケアーンテリア(記事内で紹介) 日本テリア(記事内で紹介) オーストラリアン・テリア スカイテリア ダンディ・ディンモント・テリア チェスキーテリア シーリハムテリア ノーリッチテリア |
セクション3 ブルタイプテリア | ブルテリア ミニチュアブルテリア(記事内で紹介) アメリカンスタッフォードシャーテリア スタッフォードシャーブルテリア |
セクション4 トイテリア | ヨークシャーテリア (記事内で紹介) トイマンチェスターテリア (記事内で紹介) オーストラリアン・シルキー・テリア |
ルーツは狩猟犬
ルーツが狩猟犬であることはテリア共通の特徴のひとつで、先祖犬は地中に住むキツネやアナグマ、ウサギなどの巣穴に潜り込み、獲物を追い立てていました。
「テリア」はフランス語ですが、語源はラテン語の「地(テラ)」から名付けられたといわれており、古くから人間と生活を共にし、害獣退治や番犬の役割を果たしてきた犬なのです。
人気のテリア犬種
ヨークシャーテリア
原産国: イギリス
体高(AKC基準): 17~20cm
体重: 3.2kgまで
特徴: ストレートで光沢のある長い毛をまとった「動く宝石」とも呼ばれている、世界中で愛されているテリアです。
19世紀の中頃、ネズミを捕らえる猟犬として作出されたのがはじまりで、マンチェスターテリアにスカイテリアやマルチーズの血を入れて作られたといわれています。
性格: 賢く用心深い性格で、勇敢です。
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ジャックラッセルテリア
原産国: イギリス
体高: 25~30cm
体重: 体高5cmに体重1kg(体重25cmなら約5kg、体高30cmなら約6kg)がスタンダードとされる
特徴: 体高は低め、体高より体長が長く、柔軟で引き締まった体つきが特徴です。
力強く、活発な作業犬で、1800年代にイギリスで作出されました。
性格: 鋭く、知的な表情をもち、大胆不敵な性格をしています。友好的で、冷静でもあります。
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ウエストハイランドホワイトテリア(ウエスティ)
原産国: イギリス
体高: 約28cm
体重(AKC基準): 6.8~9kg
特徴: 毛は粗く、硬く、2層(ダブルコート)に生えています。
認められている毛色はその名の通りホワイトのみです。
ケアーンテリアからときどき生まれ、かつては除去されていた白い毛色の犬を、マルコルムスという人物が興味をもち、ほかの白い犬とあわせ、白いテリアを増やしていきました。これが先祖犬になっています。
性格: 自尊心が高く、活動的で勇敢です。陽気で、いたずらっ子であるともいわれています。
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ノーフォークテリア
原産国: イギリス
体高: 25~26cm
体重(AKC基準): 4.9~5.4kg
特徴: 垂れ耳が特徴で、ノーリッチテリアという立ち耳タイプもおり、それぞれで登録されています。
最小テリアの一種で、小さく低く、コンパクトでありながら頑丈な体つきをしています。
性格: 機敏で勇敢。愛らしい性格で、いたずらっ子でもあります。
スコティッシュテリア
原産国: イギリス
体高: 25.4~28cm
体重: 8.6~10.4kg
特徴: アナグマやカワウソ猟に用いられた猟犬です。足が短くコンパクトで、地中に潜るのに適した体格をしています。
毛は雨風に強いダブルコートで、下毛は短くやわらか、上は硬くワイヤー上の毛でおおわれています。
性格: 独立心が強く、誠実で忠実です。控えめな面もあり、それでいて勇敢、とても利口です。
レアなテリア犬種
ケアーンテリア
原産国: イギリス
体高: 28~31cm
体重: 6~7.5kg
特徴: テリアのなかで最も古い犬種といわれています。
前足に体重をかけるように立つのが特徴で、丈夫な足と雨風に被毛を持ったダブルコート種です。
性格: 活動的で、怖いもの知らず、大胆な性格です。攻撃的ではありません。
ミニチュアブルテリア
原産国: イギリス
体高: 35.5cmを超えてはならない
体重: 制限なし
特徴: そもそもの作出目的は闘犬で、筋肉質で力強い体をしています。
ダウンフェイスといわれる卵型の頭と、先端にかけて下方向へ曲がっている鼻をした、個性的な顔立ちが特徴のテリアです。
性格: 勇敢で頑固ですが、安定した性格で従順です。また、愛情深いといわれています。
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日本テリア
原産国: 日本
体高: 30~33cm
体重(AKC基準)2.2~4.5kg
1700年代にオランダからきたスムースフォックステリアをもとに、小型犬の血を入れ、改良されました。昭和初め頃の計画的な改良と繁殖により今の姿に固定された愛玩犬です。体はホワイト、頭部はブラックあるいはタンマーキングのトライカラーという特徴的な外見をしています。
性格: 機敏ではつらつとしています
トイマンチェスターテリア
原産国: イギリス
体高: 25~30㎝
体重: 2.7~3.6kg
特徴: マンチェスターテリアを小型に改良した犬種です。19世紀のはじめ頃イギリスでネズミを捕らえるために作り出され、当初は今より戦闘力や頑丈さを求められていたようです。
引き締まったバランスのいい体格が優雅で、ショードッグとしても人気を博していました。
性格: テリアの性格を有し、用心深いといわれています。
レークランドテリア
原産国: イギリス
体高: 37㎝を超えてはならない
体重: 牡7.7kg、牝6.8kg
特徴:キツネ狩りの際に用いられていた猟犬が先祖犬で、悪天候に耐えうる粗く良質な毛を持っています。被毛はブラッグ&タン・レバー・ブルーなど、多くの色が認められ、愛らしい縮れ毛が豊かに生えます。
性格: 職人気質で、陽気で恐れ知らず、自信に満ちています。勇敢で友好的でもあります。
ウェルシュテリア
原産国: イギリス
体高: 39㎝を超えてはならない
体重: 9~9.5kg
特徴: 被毛は硬くごわごわしたワイヤー状で密集して生えています。カラーはブラック&タンが望ましいとされています。コンパクトな体は高い作業能力をもっています。
性格: 怖いもの知らずですが攻撃的ではなく、従順で扱いやすいとされています。陽気で快活な性格です。
ベドリントンテリア
原産国: イギリス
体高: おおよそ41㎝
体重: 8.2~10.4kg
特徴: イギリスのベドリントンし周辺に住む炭鉱労働者たちのペットとして愛されていました。
くさびのような形をした頭部と、厚く綿毛状で縮れるという特有の被毛をもっています。
性格: テリアらしく、勇ましく、自信に満ちあふれています。気立ても良く、愛情豊かな性格をしています。
テリアの飼い方の注意点
適切な運動量を確保する
テリアの中では唯一ヨークシャーテリアが、体が小さいのもありそれほど多くの運動量を必要としていません。1日2回、1回15分くらいでよいでしょう。
反対にジャックラッセルテリアは、体は大きくありませんが疲れ知らずの活発な犬種です、大型サイズの犬と変わらない運動量が必要といわれています。
しつけをしっかりと行う
散歩中や、ドッグランで走り回ったり遊んだりしている時間をトレーニング時間として利用してみましょう。
まずは愛犬との信頼関係を深め、飼い主がリーダーシップを取ることです。リーダーシップというのは、厳しく強制的にしつけるということではありません。気長に「できたら褒める」を繰り返し、一貫した指示を出すのです。コマンドに従う機会を増やすことで、飼い主を無視した衝動的な行動が抑制されていくでしょう。
しつけに難しさを感じたら、獣医師やプロのトレーナーに相談してみましょう。ブリーダーから購入したのであれば、ブリーダーに聞くのもおすすめです。長年その犬種を育てているブリーダーの経験を活かしたアドバイスがもらえるでしょう。
テリア種の被毛ケア
トリミング(カット)
プラッキング
プラッキングとは専用ナイフや指で、毛を引き抜くトリミング方法で、強制的に換毛をおこなうことです。
毛を引き抜くことで、硬く艶のある毛が生え、刺激をうけた皮膚は新陳代謝を促され皮膚トラブルが起こりにくくなるといわれています。
プラッキング以外のトリミングをおこなった場合、毛が徐々にやわらかくなる、毛色がうすくなるなど、テリア本来の毛質を維持できません。
しかし性格的や体力的にプラッキングを受け入れられない子もいます。その際はハサミやバリカンでトリミングを選択すればOKで、飼い主さんが選択できます。
まとめ
しかし、テリア種のなかにあっても性格はそれぞれ違い、個性があります。
同じテリアであっても、穏やかな子、やんちゃな子、しつけやすい子、マイペースな子がいます。
問題行動の抑制には、テリアに限らずどの犬種であっても、しつけやコミュニケーションが欠かせません。
大切なのは、家族に迎えたテリアが人間社会のなかでストレスをためず穏やかに心地よく暮らしていくために、たっぷりの愛情はもちろん、労力や時間を惜しまずかけること、その心構えを持つことです。
飼い主さんの飼育経験の有無も、あまり気にしなくていいでしょう。初心者であっても、テリア種を飼育することはできます。テリアならではのキャラクターに魅了され、テリア種ばかり代々飼い続けている人もいます。テリア種の犬を迎えたら、テリアらしい愛犬のいいところ、愛らしいところをたくさん見つけてあげてくださいね。